「4〜5千万か。今はちょっと無理やな。」
「だったら、宗教法人作りましょうよ。
その間に出物があれば買えばいいし、3年ぐらいあっという間に経っちゃいますよ。」
「いざとなったら、宗教法人を買いたいというのが現れたら売ればいい。」
「認可基準が厳しいって言ったって、宗教法人法が定める要件を備えていれば認証を受けられるんやろ。」
「金有はん、宗教法人法が定める要件調べてくれない。」
「いいですよ。ネットで調べれば直ぐですよ。」
「礼拝施設が必要ですが、別に細かい事は言ってませんから、マンションの1室でもかまいませんね。」
「よ〜し、分かった。ほなら、例の和光市のマンションを礼拝施設にしよう。」
「設立の目的がいりますね。」
「それやったら、宗教の教義を広め、儀式行事を行い、及び信者を教化育成することを主たる目的とする。これでいいやろ。」
「それから、規則に則った適正な管理運営と有りますから、規則を作っておく必要がありますね。
いずれにしろ、認証を受ける直前になって不備がないように、あらかじめ相談しておいたほうがいいですね。」
「ところで、教祖は誰になってもらうんですか?」
「そうやな、黒田はどやろ?」
「黒田さんですか。」
「そうや、黒田政治やがな。あいつ、六大学の立教出やからバリバリのインテリやで。」
「我々の中でも、ちょっと毛色が違っていますものね、黒田さん。」
「いつも難しそうな本読んでますよ。」
「奴、引き受けてくれるかな?」
「大丈夫や。ワシ、黒田には仰山貸しがあるねん。いやとは言わせへん。」
「ところで、肝心の教義はどうしますか?」
「立教大学というと、キリスト系の宗教ということになりますかね?」
「大学の宗教はあまり考えなくていいんじゃないの。
形式とかに囚われないのは神道ですよ。祝詞も自由に書けるし。」
「カケマクモとか天照大神とかオオカミオオカミとか、
最後にマオサクなんて付ければそれらしく聞こえますよ。
なんたって、八百万の神というぐらいで、いろんな神様がいるのが賑やかでいいじゃないですか。
それに神道はお神酒がいただけますよ。」
「黒田さん、学生時代手品をやっていましたから、スプーン曲げ見たいな事やれば、
ゴッドハンドって評判になるかもしれませんよ。」
「いくらなんでも、そりゃあやりすぎだろう。」
全く勝手な事を言う連中である。
「自分ところで宗教法人やるんでしたら、取って置きのものがありますよ。」
「何やねん?」
「超ミネラル水です。マルチではヒット商品ですよ。
100倍に薄めたものが2リットルで1万円前後で販売されていますよ。
医学博士が中心になって、末期ガンが治るなんてかなりヤバイ売り方してますよ。」
「薬事法は大丈夫なのか?」
「医学博士がいますので、なんともいえませんね。」
「その先生が、本も出版されていますよ。」
「言論の自由と薬事法か。そうなると本の中に書いてある中身が問題だな。」
「その超ミネラルの原液が直で手に入るんですがね、やり方によってはぼろ儲け出来ますよ。
原液でリッター3千円ですから。
失礼ですけど、冬虫夏草ドリンクは在庫がなくなったら同じものはありませんよね。
それに消費期限切れですよね。
そんなものバッタに流すんだったらまだしも、商品としては最悪のものですよ。」
「何しろタダ同然だったからなあ。」
「この超ミネラルは国内は別にして、ロシアでは二日酔いの薬として医薬品に指定されている代物ですから、効く事は間違いないんです。
前にも言ったことありますが、この超ミネラルは販売はしないんです。
お布施を頂いたお礼に差し上げるんです。
お布施の金額に応じて。
信者の方は、これを布教の材料に使えばいいんですよ。
病気が治れば、有難がって信者になりますよ。
自分でもびっくりしたんだけれどペーハーが1.0〜1.5の強酸ですから、水虫なんか驚くほどよくなりますよ。」
「じゃあ、黒田に連絡とるから。風祭さん、教義の下書き作ってよ。
それと気が付いた事やっといてよ。」
最近は、会社謄本から役員の変更届けなど公に出す書類のほとんどが風祭に回ってきていた。
まるで、司法書士か代書屋並みの仕事であるが、それを職業として謳っていないのでほとんどがタダ働きである。
第六章-第14話 へ続く

