「よくあるでしょう、手をかざしただけで病気が治ったり、
運気が好転したりという宗教団体とか。
太鼓を叩いて念仏を唱える団体とか、
断食したり、熱湯風呂に入ったり、
頭にヘッドギアみたいなものを装着してひたすらマントラを唱える団体とか、
外から見ると狂気じみたように見える事に真剣に取り組んでいるんですよ信者は。
そこから見ればこの『冬虫夏草ドリンク』なんて、まともなもんですよ。
ねえ、そうでしょう。」
といって、銀次郎はドリンクのキャップを取ろうとした。
「あれ?これ、キャップが切れないな。他のを開けてみよう。」
銀次郎は別の『冬虫夏草ドリンク』に取替え、キャップを開けようとしたが、
それもキャップは切れなかった。
「こりゃあかんな。古くなったからかなあ。
やっぱアチャラ製は見かけが良くても作りが雑やね。」
この『冬虫夏草ドリンク』は中国産であった。
「手かざしは、私もやられた事ありますよ。
仕事がスランプのときがありましてね、一寸喋ったら、急に真剣な顔になって、
手をかざすんですよ。
気を送るからて。
目の色が違ってましたよ。
まるで狂気じみていましたね。
本人は信じているから真剣なんでしょうけどね。
私は気持ち悪かったから、いいよって言って帰ってきちゃいましたよ。」
「いるんだよね。そういうの。
本人はいたって真剣で、悪気がないから始末が悪いよね。」
「そんな下っ端なんかどうでもいいんや。
問題は親分や。
誰か親分知らんの?」
「学会なら知り合いいるけど。」
「馬鹿!あんなマンモス教団相手にしてどないすんねん。
公称800万所帯やで。信者数。
全然向こうが相手してくれへんがな。」
「俺は、やくざと宗教家の知り合いだけはいないんやな。
昔から、この二つだけは好きになれなくてね。」
「いっそのこと、宗教法人作っちゃったら。」
「宗教法人作るのって、結構大変なんだよ。
だから、裏で宗教法人の売買が行われているくらいなんだ。」
「まず、活動実績がないと認めてくれないね。」
「実績って何年くらい必要なの?」
「最低でも、3年は必要って言われているよ。」
「ひえ〜〜〜〜、3年も掛かるの。
だったら、買った方が手っ取り早いじゃないですか。」
「その通り。インターネットでも宗教法人の売り物が出ているよ。
4〜5千万円で。
それに、オーム事件以来、認可基準が厳しくなって中々下りないらしいよ。」
「こん中では誰が一番教祖にふさわしいかね。」
第六章-第14話 宗教法人教祖を探せ(3)へ続く

