「ナベちゃん。ワインファンドやるんだって。」
(ナベちゃんというのは銀次郎のもう一つの呼び名である。古い連中は銀次郎をナベちゃんと呼ぶのである。)
何処で聞きつけてきたのか、青木が銀次郎のところへ電話をかけてきた。
「俺にも一口乗せてよ。良いスポンサーがいるんだ。」
「誰から聞いたの。ワシまだ誰にも言うてなかったのにな。」
「そんなことはどうでも。それより詳しく話を聞かせてくださいよ。」
全く、この連中の情報の伝わり方の早さには驚かされるのである。
もっとも、生き馬の目を抜くと言われるこの業界で飯を食っていこうとすれば、
これぐらいのことは朝飯前のことなのだろう。
銀次郎はそれ以上のことは詮索しないで、青木にワインファンドの要点を話した。
「これは絶対上手く行きますよ。
早速心当たりのところに連絡とって見ますよ。
これは面白くなりそうだ。」
あれ?何でまた、銀次郎さんは青木と付き合っているの?
そう思いますよね。
詐欺師の連中は、自分が騙された事などは口が裂けても喋らない。
なぜなら、騙された事を喋る事は自分の馬鹿さ加減を天下に公表しているようなものだからである。
次はこっちが騙してやる番だ。
詐欺師はあくまでも頭脳明晰でなければならないのである。
それがこの連中のプライドなのだから。
そんなプライドなどどうでもいいと思うのは、自分が当事者でないからである。
余談だが、一流企業の社長がM資金の詐欺にあったり、
同じく部長や、医師、大学教授などの高学歴の連中が詐欺に引っ掛かるのも、
自分は頭がいい、そんなものには引っ掛からないと言ううぬぼれが災いしているのである。
M資金
出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
M資金(エムしきん)とは、連合国軍最高司令官総司令部(GHQ)が旧日本軍から接収し、現在も極秘に運用されていると噂される架空の秘密資金である。また、その話を用いた詐欺の手口。
Mは、GHQのESS(経済科学局)二代目局長であったウイリアム・フレデリック・マーカット少将の頭文字とするのが定説となっている。
M資金の由来
大二次世界大戦終戦時の混乱期に大量の金融資産(貴金属や宝石類)を含む、旧日本軍の膨大な資産がマーカット少将の指揮する部隊に押収されGHQの管理下に置かれた。資産は戦後復興・賠償にほぼ費やされた。
M資金詐欺で語られる代表的な作り話
・ その後、ごく限られた日本政府の高官やアメリカ政府の関係者によって運営される秘密組織によって、その一部が管理されてきた。
・ その巨額の資金(1950年代で800億円、現在は数十兆円ともされる)は、昭和26年の日米単独講和条約の締結により、その一部が日本側に返還され、一定の条件の下に秘密組織により適切と判断した個人とその団体に移譲され、保有資金が最大限有効に活用され今日に至っている。
・ この資金を一定の制約の下に、非情に有利な条件(利息、返済、課税)で資金委譲を受ける資格を得たものがその恩恵に与る。
・ この資金の恩恵に与る有資格者には、一定の条件を満たす人格者(社会的信用、資金管理及び経営能力、地域社会における指導力、人心掌握力等に優れる者)であることが求められる。
・ 更に、この資金の有効活用に鑑み、十分な理解力、発想力、想像力、継続力を具える事を必須となる。
・ そして、これらの資格を証明するものとして、多額の申込金、手数料などが必要である。
・ 多くの場合、それらの申込金、手数料は、数千万円から数億円の金額である。
・ その金額を用意し、仲介者に渡した場合、仲介者はそのまま行方不明になることが。多い。
「銀次郎さん、ちょっといいですか。
ワインファンドのアイデアはすばらしいんですが、出資法とかの法律関係は大丈夫なんですか?」
と風祭が疑問を投げかけた。
「大丈夫と思うよ。灰田の事だから抜かりないと思うよ。
専門家に任せてあるって言ってたから。
青木もなんだか、調子良いようなこと言っていたな。
10口ぐらい集めたらしいよ。
上手くやれば、10億ぐらい訳ないよ。
来週一緒に仙台に行って来るよ。」
なんとも威勢がいい銀次郎さん。
「えっ!まだ灰田と付き合っているんですか?
僕はあんまり好きになれないな。」
と風祭。
「アルゼンチンと契約できたら、樽ごとこっちに持って来たいんだ。
今は政局も安定していて大丈夫だろうけれど、南米は何が起こるかわからないから、
用心に越したことは無いだろう。」
「それはそうですけどね。」
「それでね、風祭はん、国内で樽ごと預かって、管理してくれるワイナリー探しておいてよ。
毎年、ワインの熟成を楽しむツアーみたいなのを企画したいんでね。」
「それは面白いですね。それに観光とゴルフコンペなんか組み合わせると、
また美味しい銭儲けが出来そうですね。早速調べて見ますよ。
差し当たって、北海道か山梨、長野、静岡当たりで探して見ましょう。」
「それから、このホームページを参考にして、うちのホームページ作ってよ。
やっぱ、ホームページ持ってるのと持ってないのでは相手の受けが全然違うから。
それに、会社案内を印刷物で作るより断然安上がりやろう。出来るだけ早く頼むよ。」
ホームページなんて簡単にできると思っているのが銀次郎らしい。
それに、一流の企業は皆ホームページを持っているので、
ホームページぐらい持ってないと格好付かないと思っているのである。
「いいですよ。何を載せるんですか?」
「せやな、日本酒とアルゼンチンワイン。
ワシが輸入したあのワイン写真入れといてよ。
それから、健康食品のチャーガ入れといて。」
「チャーガって何ですか?そんなの聞いてないですけど、何処から持ってきたんですか?」
「あれ、言ってなかったかな。酒好のおばちゃんがやってるんだよ。
奴さん、満天にどっぷり浸かる前は、健食をやってたらしいよ。
そのときの在庫が余っているから処分してくれって頼まれたんだよ。
チャーガって言うのは何でもガンに効くらしいよ。
健康食品だから薬事法に引っ掛かるからおおぴらには言えないけれど。
白樺の木に生えるきのこの一種でサルノコシカケみたいなものだそうだ。
これを飲むと血液がサラサラになるので、脳梗塞や心筋梗塞で倒れるという心配だけはなくなるらしい。
そうそうヒアルロン酸とコエンザイムQ10も売ってくれと言っていたな。
サンプル送ってくると思うから受け取っておいてね。」
「バナジウム水は如何しましょう?」
「そうやな、アレも入れとくか。賑やかしに。」
第六章-第4話 銀次郎銘酒パブのオーナーに(1)へ続く
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でもちゃんと読んでるから。
ポチポチ、完了〜笑
コメントの返事遅くなりました。
どうもスランプです。