部屋に戻っても、銀次郎のテンションは上がりっぱなしで、とどまるところを知らない。
冷蔵庫の飲み物も、全てフリードリンクになっていて、早速ビールを取り出し、栓を抜いた。
「ワシ、この組織から仰山銭引っ張ってやるで。骨の髄までしゃぶりつくしたるで。」
なんとも鼻息が荒い。
「どうやるんですか?銀次郎さん。」
「この満天倶楽部の会員は、今何ぼいるか知っとるか?」
「いや、知りません。」
「4,5万人ってとこらしい。」
「そんなにいるんですか。」
「仮にやで、一人1万円として5万人が銭使こうたら何ぼになる?」
「そうですね、えーと、ゼロが8つだから、5千いや、5億ですね。」
「そうやろ。5億や。尾ノ崎豊のミレニアムワインがヒントなんやが、
この会の記念イベントに大場会長の肖像入りのワインセットでも出してみいや、
皆有り難がって買うわな。
原価率5割としても、2億5千万の儲けや。」
「それならいけそうですね。尾ノ崎豊より確実性がありますよ。」
「仕掛けはいくらでもある。一つ当てれば、億単位の銭が儲かるはずや。
真剣になって考えてみいや。」
「おっしゃるとおりですね。」
「あまり欲かいたらあかんよ。
これは間違いなくマルチやから。
マルチの組織はせいぜい大きくなっても10万人が限度や。
それ以上になると、内部から組織崩壊が始まる。
どんなに強固な組織でもそうなる運命にあるのや。
歴史が証明しているから間違いない。
そこで、この満天倶楽部が10万人に達するまでを逆算すると、
2,3年と言うことになる。
言葉を変えれば、1,2年は安泰というこっちゃ。
その間に色々仕掛けていけば良えのや。」
「なあるほど。マルチ、マルチと毛嫌いしていては儲けることは出来ませんよね。」
「マルチで儲けられるのはほんの一握りなんや。
やるからには、そのほんの一握りに入らな意味ないで。
自分の下にちまちま子どもや孫を作っていたんでは手間が掛かるだけや。」
「僕には他人を誘い込むなんてことは無理ですね。」
「俺も無理だな。義理で名前を貸したことはあるけど、自分の性に合わないですよ。」
「えーですか。」
ほら、出ました。銀次郎節。
「大場会長あっての満天倶楽部や。
あっこは、社長や部長には何の権限も無い。
大場会長のカリスマ性で持っているようなもんや。」
「何処がいいんですかね?大場会長の。
話術だけなら、司会をやっていた課長のほうが上手かったですよ。」
「あの小鳥遊のおっ母さん。
あいつは、大場会長の親衛隊みたいなもんや。
いわば、大場チルドレンというやっちゃな。
あっこにくっついておったら、中の動きがよう見えるやろ。
『将を得んと欲すれば、まず駒を射よ』や。
『虎穴にいらずんば虎児を得ず』とも言うし。
儲ける銭のこと考えれば1000万円なんてどうってことないよ。
チャリペイどころか莫大なお釣りが来るよ。」
「それでも、1000万ものお金どうやって作るんですか?」
「まあ、任せておけって。なんとかなるわい。」
「ワインも良いんですか?現金じゃないんでしょう。」
「あんなもん、置いておったかてどもならんやろ。
青木や小金沢に売れると思うか。
あいつらには売れませんよ。
夏が来る前に勝負したらなしょうがない。
皆湧いてしまうで。
捨てるぐらいなら、ポイントに替えておいたほうがええんとちゃう?
ポイントでも何かの使い道あるやろ。
車でもマンションでも満天で購入できるようになるって、言うてはったで。
錦糸町にはあんじょう言うとくわ。」
「そうならいいんですけどね。」
金有も風祭も銀次郎が何を考えているか、俄かには理解できなかった。
第五章-第8話 会員互助会『満天倶楽部』(8)へ続く
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・1650万円


すごく遅くなっちゃった〜涙
銀さん、何かやりそうですね!わくわく!
登校です。
こちらのほうが、返事が遅くてごめんなさい。
ちょっと、話を引っ張りすぎてますかね。
でも、ここ大事なところなので、暫くお付き合いください。