「そろそろ受付を済ませないとね。」
5人は、上階へ戻って、受付のカウンターに行った。
「私達はもう済んでいるから、あなた達の受付ね。」
事前に申し込んでおいたので、名札とホテルの部屋割りが用意されていた。
重大な発表があると言うことで、出席者の数は1000人を超えているという。
ロビーにはまだ受付を終了していない参加者が、あふれている。
大した集客力である。
待ち合わせの友人が来ないので、必死に電話をしたり、
自分のグループの下の者にあれこれと指示を出すものなど、
こうゆう会合特有の開演前のあわただしさが、
一層会場の雰囲気を盛り上げている。
始めに、会の主催者である会社の社長が型どおりの挨拶をした。
やがて、会長の講演が始まると、今までざわついていた会場が水を打ったように静かになった。
今日は重大な発表があるというので、
会長の言葉を一言も聞き漏らすまいと必死でメモを取っているものもいた。
銀次郎たちは、『この組織はマルチだろう。』と踏んでいたから、
自分達が絡んで商売になるのかならないのかを考えながら、
会長の講演を聞いていた。
「お金の掛からない、満天生活。」
「お金が2倍に使える、満天生活。」
「例えばですよ。銀座のデパートで10万円のシャネルのバッグを売っていたとします。
それを、買うには10万円必要ですよね。
ところが、同じものが私たちの“満天市場”で買えるんです。
10万満天で。
じゃあ、その10万満天を手に入れるには如何すればいいかというと、
満天市場の両替所で両替してくれるんですね。
10万円が20万満天になりますから、2倍に使えるんです。
電化製品の安売り店で買い物をすればポイントがもらえるけど、
せいぜい5%ぐらいでしょう。
等倍のポイントなんて付きませんよね。
ところが、満天市場では等倍のポイントがもらえるんですね。
これからこのポイントでいろんなものが買えるようになります。
本部で一流メーカーに交渉していますから、楽しみに待っててください。
車も、マンションも、プラズマディスプレーの大型テレビも買えるようになりますよ。」
会場からは、期せずして割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
会長の話は次第に熱を帯びてきて、今年で73歳になろうというのに、
エネルギッシュで疲れを感じさせない迫力がある。
3人はヒソヒソ声で話をしていた。
「如何思う。金有はん。」
「これは完全なマルチでしょう。」
「やっぱりな。」
「しかし、これだけの舞台装置を仕掛けるのには、1億や2億の銭ではでけへんで。」
「そうですね。どんなからくりになっているんでしょうね。」
「宣伝協力金と言う名目で年間36%もの配当を出しているちゅうことは、
3年で元は回収でけるちゅうことやな。」
「極端な話、サラ金から金借りて預けても損しませんよ。」
「そんな馬鹿な話があるかいな?」
「しっ!静かにして。」
前の席の中年の女性が、後ろを振り向きざま、3人を叱責した。
「すんません。」
3人は首をすくめて、頭を下げた。
会長の話は、まだまだ続く。
「これから、満天で買い物が出来る、満天市場を全国に作っていきます。
第1号店は東京の銀座にオープンします。
その後、渋谷、町田にオープンします。
地方へも必ずオープンさせますから、それまでは大変でしょうが、
毎月開催している満天会の会場で啓蒙を広めてください。
この、満天市場が日本の経済の仕組みを根底から覆します。
今までに無いシステムですから、いろんなことを言う人が出るでしょう。
今までの常識に囚われている人には、わからない、理解しにくいと思います。
無理に分かっていただく必要は無いのです。
私たちと一緒に、貧乏の無い世界、争いごとの無い世界、
暗闇の無い世界を目指す同士の仲間が理解すればいいのです。
いつか私の未常識経済理論が理解される日が来るでしょう。
既に、韓国、台湾からも一緒にやっていきたいという問い合わせも来ています。
日本国内にとどまらず、グローバルな世界でこの未常識経済理論は新しい経済理論として脚光を浴びるでしょう。
今日は長時間にわたって有り難うございました。
もっともっとお話したいことはたくさんあるんですが、
そろそろ皆さんおなかもすいてきた頃でしょうから、
このへんで私のお話は終了させていただきます。
この後、心ばかりのパーティーを持たせていただきましたので、
心行くまでご歓談いただきますようお願いします。
有り難うございました。」
拍手喝采の中、会長の講演は終了した。
第五章-第5話 会員互助会『満天倶楽部』(5)へ続く
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・1650万円


銀ちゃん、どうでるのか楽しみ〜笑
あっポチポチ、忘れずにぃ!
毎日有り難うございます。
ここのマルチは、お金持ちに仕立ててありますが、90%以上のマルチは出来て1年以内に消えてなくなっていると言うのが現実ですから、近づかないのが賢明でしょう。
ただし、銀さんは常識に囚われない人ですから・・・
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