「満天倶楽部ってご存知ですか?」
「いや、ワシ知らんよ。聞いたこと無いな。」
「互助会みたいな組織ですが、急激に伸びている組織です。」
「ねずみ講じゃないの?あれはあかんよ。」
「ねずみ講といえば、熊本かどっか、
九州のほうで『天下一家の会』なんてのありましたよね。」
「そうそう、最盛期には会員数180万人、1000億円のお金を集めて、
自家用飛行機5機を所有していたというから、大したものだ。
この事件を契機にねずみ講禁止の法律『無限連鎖防止法』が出来たんでしたよね。
僕が高校卒業した頃ですよ、確か。」
「相変わらず、博識だねえ、金有さん。」
「その満天倶楽部がどうしたんだい?」
「私の知り合いの女性が会員になっていて、
『お金は一切掛からないから、名前だけ貸してよ。』って言うんで、
登録したんだけど、DVDプレーヤーを無料で貸与してくれるんですよ。
貸与といっても、返す必要は無いということで、
実質的には貰ったのと同じなんですがね。
まあ、貸与という形にしておかないと、税法上問題があるんでしょうね。
そして、上手くいくと1,340万円が手に入るというんですよ。」
「そんな上手い話があるわけ無いでしょう。」
「それはやっぱりねずみ講じゃないの?」
「まあ、無限連鎖防止法が出来てから、
それに引っ掛からない様々な組織が考えられてきて、
今はネットワーク販売が主流になってきていますよね。」
「自分の下に子どもとか孫を330人作ると、
1,340万円になるということでしたよ。
ネットワークビジネスだと、
毎月のノルマが有ってそれをクリアーしないとインセンティブが稼げないとか、
片伸びじゃ駄目だとか色々と制約があるようだけど、
満天倶楽部はそんなこと無いみたいですよ。
DVDプレーヤーをもらえるだけでもめっけもんですから、
登録だけでもしてみたら如何ですか?
本当に一銭も掛かりませんから。」
「330人か。まあどうなるか分からんけど、名前だけ書いておくか。
間違えて、330人集まらんとも限らないし。
皆、金有の紹介にしておけばいいかな?」
その場にいた皆に名前を書かせて登録した。
「実は、その満天倶楽部の満天会が新宿のヒルトンホテルで開催されるんですが、
会員登録したんだし、一度参加してみません。
私はきっと商売のヒントがあるような気がするんですよ。」
「ヒルトンホテルで何をするの?」
「午後1時から開催で、舌先会長の講演が主体みたいです。
そして夜6時半から懇親会でフランス料理のフルコースに飲み物は飲み放題だそうです。
全国から会員が集まるのですが、地方の人は宿泊もタダだそうですよ。
どうせ暇なんだし、夜は一杯やるだけでしょう。
交通費しか掛かりませんから、話の種に行きましょうよ。
面白くなければ帰ってくれば良いんだし。」
金有は、紹介者の酒好さんに電話をして、
今度の満天会に3人分の予約を入れてもらえるよう頼んだ。
「金有さん。グッドタイミングよ。
今度の満天会はものすごいことが起こるわよ。
世界中の経済システムが激震するような内容を大場会長が発表するらしいの。
あなた達ラッキーよね。
東京の人は宿泊できない規則なんだけど、
何とかごまかして泊まれるよう申請を出しておくわね。」
なんとも大げさな言いようである。
大場会長と言うのは、何でも日本に初めてネットワークビジネスを広めた中心的人物だったらしい。
国籍は韓国で、大場嘉門というのは通名のようである。
聞くところによると、このような満天会は毎月新宿の一流ホテルで開催され、
全て費用は満天倶楽部が負担しているという。
さらに、もっと規模の大きな全国大会が年2回6月と11月に開催されているという。
今度の大会が第27回大会ということだから、14年間続いていることになる。
商品購入の義務も無く、年会費も必要なく、
都心の一流ホテルで頻繁に1000人規模の催し会を開催している,
『満天倶楽部』とは一体どんな組織なんだろう。
銀次郎、風祭、金有はこの『満天倶楽部』にそれぞれ別々な興味を抱いていた。
第五章-第3話 会員互助会『満天倶楽部』(3)へ続く
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・1650万円


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登校です。
『満天倶楽部』怪しいですよ。
果たして銀次郎は『満天倶楽部』を
手玉に取るか、とられるか?
乞うご期待!!