「私は、日本で実業家を目指しています。
そのためにはまず、会社を作らなければなりません。
場所は新宿から中野の間がいいですね。
このあたりは韓国籍の同胞が一番多いですからね。
出来れば同胞を相手にした商売がやりやすいと思っています。」
「朴さんは、どんな仕事をやろうとしているんですか?」
「義理の父が貸しビルなどの不動産を所有しているので、
まずその管理運営です。
でも、これは父の仕事ですから、新しいことをやりたいですね。
例えば、新大久保周辺にはハングルで書かれたフリーペーパーが数種類ありますが、
このフリーペーパーの印刷を考えています。
こちらで下書きを作って、韓国の印刷工場で印刷して日本に届けます。
韓国の物価は日本より安いですから、十分採算が取れますよ。」
「随分国際的なんですね。」
「本当は貿易をやりたいのです。韓国のいいものを日本に紹介して、
日本のいいものを韓国に輸出する。」
「それは面白そうですね。」
「韓国は若者の間で日本ブームですから、日本語学校も繁盛してますよ。
僕もそこで日本語を勉強しました。」
「貿易ですか?
そういえば韓国で日本の水が売れていて、
その水を扱っている奴が知り合いの事務所によく来ているから、
話を聞いてみません?」
「どんな水だか分かりますか?」
「なんでも、富士山の水でバナジウムとかいうミネラル成分を含んでいる水だそうだよ。
健康にいいらしいですよ。」
「それは面白そうですね。韓国は水が悪いから、皆生水は飲みません。
高い水のほうが、よく売れるんですよ。」
黄山は携帯を取り出し、電話をかけた。
「黄山です。社長、明日事務所におられますか?会わせたい人がいるんですが。」
「ええですよ。何時ごろですか?それじゃ待ってます。」
翌日、朴大中は銀次郎の事務所を訪問した。
「初めまして、朴大中(パクデジュン)です。」
「金山です。よろしく。朴さんは在日ですか?」
「いえ、向こうで生まれ、向こうで育ちました。
金山社長さん、ひょっとして、あれですか?」
「そうですよ。分かりますか?」
「やっぱり、同じ匂いがしますよ。」
「日本語が上手ですけど、日本が学校にでも通ったんですか?」
「ええ、そうです。日本に興味がありましたから。それと奥さんが日本人ですから。
家では日本語で会話しているからでしょう。」
朴さんは黄山に話したのとほぼ同じ内容の話をした。
かてて加えて、皆がつばを飲む話を切り出した。
「私の父は、日本有数のコンビニエンスストアーチェーンファミリーセブンの会長とポン友で、
そこで販売しているプリペイド式国際電話カードの販売を独占していて、
その内の西日本分の権利を私の会社に移譲してくれることになっているのです。」
といって、財布から1枚のカードを取り出した。
「こうゆうカードを使ったことありますか?」
そう言うと、テーブルの上に国際電話カードを置いた。
「但し、条件がありまして、
私が父の眼鏡に適う事業を立ち上げなければならないのです。
私は養子なので、周りからあんな奴を養子に迎えたと、
父は変な陰口を叩かれるのが嫌なんです。
名実ともに、皆に私のことを認めてもらいたいのです。すばらしい父です。」
そういうと今度は、ジャケットの内ポケットから1枚の小切手を取り出し、
テーブルの上に置いた。
振出銀行は、韓国の都市銀行で新宿支店のものだった。
銀次郎はすばやく、ゼロの数を数えた。
1,2,3、・・・・、8個の連続したゼロが並び、
その前に15という数字があった。
なんと、150億ウオン。日本円で約12億円になる。
とんでもない奴が現れた。黄山の言うとおりだ。
「この小切手は、僕が父から貰ったものです。
どう使ってもいいのですが、僕としては、
これには手をつけないで事業を起こし成功させたいのです。
これを使うときは、勝負に出るときですね。
そのためにも、ブレーンとスタッフを固めて、
戦術と戦略を練ろうと思っています。
金山社長協力してくれますか?」
なんとも景気のいい話である。
「勿論ですとも、私でよければ是非協力させてください。」
今度こそ、俺にも運が向いてきたぞ!!
密かにほくそ笑む、銀次郎だった。
第四章-第3話 150億ウオン小切手の怪(3)へ続く
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・1650万円


すいませんね、早くて(笑
すごく話が大きい朴さん、どうなるんでしょ。
こわいけど、楽しみですよ〜
そうなんです。
話が大きすぎるんです。
でも、所詮会社ごっこ屋さんですから・・・
お楽しみに!