「どや、今度は本まもんやろ。
2千万入りゃ、黄ちゃんにも回してやれるから助かるやろ。」
銀次郎は上機嫌で、黄山に話しかけた。
「そりゃあ、大助かりですよ。社長は顔が広いんですね。」
「黄ちゃんより一寸だけ長く生きてるだけや。」
「どんどんお店を増やしていきましょうよ。
飲食なら、うちの店からお酒でもビールでも食材でも安く入れられますから、
絶対儲かりますよ。」
「せやから、錦糸町に日参してんやないかい。
黄ちゃんも見たやろ。
あっこのビルの1階、ごっつ良えで。
それと日本タワー。
紅谷が上手くやってくれはるやろ。
楽しみやで。
ワシら、運が向いてきたな。」
えっ!本当に運が向いてきたの?
「こんにちは!どや?」
と短い挨拶をして、同行の黄山を紹介する。
「ワインね、苦労してますわ。
尾ノ崎の親父が中々の策士でね、全く。
こちらは、ファンクラブのホームページで紹介してもらうよう働きかけているんだけど、
肖像使用料のほかに、売上手数料まで要求してきやがって、
全く、金の亡者だよ、あいつは。」
「何ぼかかるの?」
「最初に500万。」
「ワシらでは重荷やな。錦糸町にお願いするか。」
「そうそう、この間ちょこっとだけ話した例の奴、試作品が出来上がったんですよ。」
「何をそんなにもったいぶってるの。」
「銀さんはゴルフやります?」
「ワシは、あんなことよーせん。
あんな止まっている球打って、穴ぽこに入れて何が楽しいの。
黄山は上手いよ。シングルや。なあ。」
「そうですか。黄山さんはガタイが良いから飛ばすんでしょう。」
「いやあ、そうでもないですよ。
ドラコンで最高に飛んで263ヤードでしたね。滅多に出ないですよ。」
「すごいですね。流石です。
ところでアマチュアがドライバーで300ヤード以上飛んだらどうですか?」
「まあ、無理でしょうけど、そんなに飛んだら、パー5で2オン狙えますから、
1ラウンド回ってスコアーが4つぐらい良くなるんじゃない。」
「そうですよね。出来ちゃったんですよ。
300ヤード以上飛ぶドライバーが。」
「うそでしょう。
からかっちゃ駄目ですよ。そんなのあるわけないじゃないですか。」
「うそじゃないんです。本当に出来たんです。」
小金沢は、少し興奮気味に一段と高い声を発した。
小金沢の話を要約すると、名古屋の某メーカーが開発したチタン合金で、
細かい成分比率は機密事項で公表は出来ないが、
シャフトはプロが愛用している○○社製をつけて、試作品が出来上がった。
現在様々なテストを実施しているところで、データーも近々貰えるとのこと。
ヘッドの反発係数も低反発の基準内で申し分ない。
「有名な尾嶋3兄弟の真ん中の奴に、試しに打たせて見たら、
なんと400ヤード行っちゃったらしいよ。
打った本人が1番驚いて、完成したら必ず持って来いって、
大変な惚れこみようですよ。」
「信じらんねー。」
「百聞は一見にしかずですよ。今度手に入ったら、持って行きますので、
実際に打ってみてください。」
「そうですね。いくら本当だ嘘だって議論していても始まらない。
打ってみれば判ることですから。
でも、本当だったらすげーな。」
「困ったことに、開発した所が弱小メーカーで、開発費にお金を注ぎ込みすぎて、
肝心の制作費が捻出できない状況なんですよ。」
黙って小金沢と黄山のやり取りを聞いていた銀次郎がおもむろに口を挟んだ。
「何が困ることあるかいな。かえって、チャンスやないかい!
資金を貸し付けて、販売権を取ってまえよ。」
えっ、何処にそんなお金があるの、銀次郎はん。
まさか、紅谷の2千万円、本気にしてんのですか?
「黄ちゃん、ドライバーって幾らぐらいするの?」
「ゴルフのクラブなんてピンきりですよ。
今の話が本当なら10万円でも欲しい人は買うんじゃないですか。
僕の持ってるので一番高かったのは78000円ですよ。」
「資金はワシが何とかするわい。何ぼあればいいの?」
「とりあえずは、200万あればこちらが主導権を取れます。」
「銀次郎さん。ゴルフ嫌いだなんていわないで、やりましょうよ。
来年の今頃はハワイあたりでゴルフ三昧を味わいたいですね。」
第三章-第12話 詐欺師紅谷の罠(6)へ続く
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・1650万円


いっきに読みました。
銀さん、ますます深みにはまってる〜笑
楽しかったですか?
saineiさんが留守の間に、あちらでは大変でした。
もうご覧になりましたよね。
こちらも、銀次郎さん山場に向かってます。
気合入れて書いてます。