1月の末、黄山の酒免許のお陰で、待望の紹興酒が横浜港に到着した。
灰田は通関など所定の手続きを済ませて、
予(かね)てから手配をしてあった『買い屋』連中に連絡を取った。
『買い屋』連中はあっという間に保税倉庫に到着し、
現金と引き換えに紹興酒をトラックで運んでいった。
わずか2時間ほどの間に、72,000本の紹興酒は跡形も無く運び出されていき、
灰田の懐には1,080万円の現生が転がり込んだ。
灰田は1万円札の札束を前にして、にやりとほくそ笑み、
鷲掴みした札束に軽くキスをした。
(これだから、この商売は止められない。)
そして、倉庫の中には18,000本の紹興酒が残された。
灰田は、ローレックス風の腕時計を覗き込み、時間を確認して、
銀次郎に電話を入れた。
「ナベちゃん。お待ちどうさま。今無事通関切れたよ!
1,500ケース18,000本間違いありません。」
「よっしゃ、もう直ぐトラックが着くさけ、確認しといてや。」
「了解しました。」
青木や黒田にパクられることを懸念して、荷物は愛知県岡崎市の貸し倉庫に運び込まれた。
取引は、ひとまず終了した。
それから程なく、上野や大宮界隈の場末の中華料理店で
件の紹興酒が出回り始めたのは言わずもがなである。
幸いなのか、不幸なのか、銀次郎は、上野や大宮では馴染みの店が無く、
そのあたりで飲食することは無かったので、目に留まることは無かった。
無事に通関も切れたので、銀次郎は、韓国焼酎を飲みながら、
利益の計算に余念が無い。
(最低でも、1本500円で卸せるやろから、900万円の売上で、
ざっと450万の儲けか。灰田に用立てた100万円はくれてやってもいいか。)
などと、取らぬ狸のなんとやらで、一人悦に入っていた。
名義貸しをした黄山は、銀次郎からの分け前を当てにしていた。
黄山は元サラリーマンで、大手コンビニエンスストアー『ファミリーセブン』の店舗開発を担当していた。
かなりの腕利きで、社長賞を何度も獲得し、社内でも有名な存在だった。
とにかく口が上手く、フランチャイザー希望者には、この事業を行えば、
3ヵ月後はこうなる、半年後にはこうなる、1年後、3年後、10年後の具体的な数字を並べ立て、相手の妄想を掻き立て、強引に納得させてしまうのである。
量販店に押されっぱなしで先の見通しの立たない物販店や、
脱サラを夢見るサラリーマンは格好の餌食になった。
半ば強引な勧誘がフランチャイザーとの間でトラブルになり、
社内でも問題になっていたのに嫌気が差していたし、
将来は自分も青年実業家と呼ばれる部類の人間になりたいと夢見ていたので、
退職金を貰ってサッサと辞職してしまった。
かつて、自分が目をつけていた物件を、退職金をつぎ込んで借りることにし、商売を始めた。
物販だけでは物足りない。最近のコンビには酒を置いている所しか成功しない。
何としても酒を扱わなければと思い悩んでいた。
当時、酒の免許は人口制限、距離制限により新規参入を拒む既得権益に守られており新たな取得は困難を極めた。
どうしても欲しい場合は、数百万円〜千万単位で闇で免許の売買が行われていたほどである。
今は、規制緩和により一定条件をクリアーすれば原則免許が下りるはずだが、
まだまだ既得権益の壁は厚いと言うのが現状である。
貸金業はその点、届出制なので、条件を満たしていれば簡単に許可証が交付される。
それが、闇金融を増長させることになるのである。
奴らは、端から免許の更新など眼中に無い。使い切りと考えているのである。
闇金については、いずれ詳しく記述する予定でいます。
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・800万円
第12話 酒販免許(2)


続きが楽しみ
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忘れずやりました〜笑
明日も登校しますっ!
本日2度目の登校ですね。有り難うございます。
もう全部読んじゃ他みたいですね。
ご苦労様でした。
目標と言うかライバルと言うのもおこがましいのですが、高い壁がそそり立っていますが、頑張りますのでこれからも応援お願いします。