灰田は頭の中で儲けの計算をしていた。
実際の仕入れ値は1本50円だから、銀次郎が用立てた450万円を元手に、
9万本仕入れることができる。
18,000本を銀次郎に渡しても、72,000本は丸々手に入る。
これを、1本150円で売れば、1080万円の丸儲け。
自分のお金は1銭も使わないで、1080万円のぼろ儲けになる。
これだから、この稼業は止められない。
「ナベちゃん。実は一寸厄介なことがあるんだ。知らなかったんだが、
酒の輸入には酒の免許が必要らしいんだ。」
「えっ、本当!勝手に輸入できないの?」
「誰か免許持っている奴知らない?それさえクリアーすれば、
来月にはまとまった金を手にできるんだがなあ。」
銀次郎は暫く考えていたが、やがて右のこぶしで左の手のひらを軽く叩いて、
「ピッタリな奴がおったわ。たまたま焼き鳥屋で知り合った奴なんやが、
そいつが酒のディスカウント店やっておって、意気投合したんや。
一緒に商売やろうってな。そいつに輸入元になってもらおう。」
「それは、願ったり適ったりや。」
またまた、新たな人物の登場です。
この物語は、いろんな役回りの人間が出てきますから、判らないときはトップページの『主な登場人物』を参照してくださいね。
新たな登場人物は、酒のディスカウントショップチョンボ・クリエイトを
経営している黄山 治(こうやま おさむ)である。
黄山は銭のにおいを嗅ぎ付けることに関しては、天才的な能力を発揮する男である。
勿論、黄山が銀次郎と付き合うようになったのは、
銀次郎に金の臭いを感じたからである。
銀次郎は黄山の携帯電話に電話した。
「あっ、黄山さんですか?金山です。先日は遅くまでつき合わせて悪かったね。
あの後真直ぐ帰りました。それはよかった。」
「金山さん。こちらこそご馳走様でした。ところで何か用事ですか?」
「そやねん。用事がありますねん。あんさん、酒の免許持ってはりますよね。」
「そりゃ、うちは酒屋ですから、免許無いと営業できませんから。」
「実は、中国から紹興酒を安く輸入できるんやけど、免許があらへんねん。
お金もラベルも用意でけてるんやけど、肝心要の免許があらへんのや。
何とかなりまへんやろか。」
「いいですよ。そんなことなら、お安い御用です。
ところで、私にも売らせていただけるんですか?」
「当然やがな。ぎょうさん売って儲けてくださいよ。」
銀次郎がここまでに使わされたお金の累計・・・800万円
第11話 酒販免許(1)へ続く

