青木稔は「僕は、潰れかかったスーパーマーケットを再建した経験もある。
水玉ストアーは僕が再建してあげるから、プロの僕に任せなさい。
水玉社長は卸のほうに専念してください。
品物も僕がどんどんぱくってきますよ。」
と言葉巧みに言い、実質的に店の経営権まで取り上げてしまった。
店の事務所には、「パクリ屋」仲間の黒田政治や白石秀明、
彼らの手下で元大手運送会社のドライバーをしていた里原などが頻繁に出入りするようになっていた。
里原は運送会社のドライバーをしているだけあって、地理に詳しく、何かと重宝であった。
社長の水玉は、借金取りや大家との交渉を青木に任すことによって、
借金地獄という現実から逃避し、精神的重圧から開放され楽になったと思い込んでしまった。
そもそもこれが、水玉を奈落のそこに引きずり込むドラマの幕開けとなったのであった。
実質的な店の経営権を握ってしまった青木は黒田と組んで、やりたい放題し放題。
かくして、水玉ストアーは「パクリ」の舞台、悪の巣窟へと変身していくのであった。
青木・黒田は、ここぞとばかりに食品、日用品といわず雑貨、貴金属に至るまで、
引けるものは何でも引くという無節操ぶりを大いに発揮した。
例えば、事務機屋からカラーコピー機のカラートナーを80個仕入れる。
仕入れるといえば聞こえがいいが、払う気が無いので厳密に言うと仕入ではない。
1個4万円もするものを、闇の世界へ横流し、なんと1個1万円で売りさばいてしまうのだ。
青木にとっては、1万円の利益が欲しいのではなく、1万円の現金が欲しいのだ。
青木は、カラートナー80個で現金80万円を手に入れることができた。
全てこんな調子である。
端(はな)から支払いなどする気がとんと無いのである。
同じような店を複数持てば、荒稼ぎできると目論んだ青木は、
水玉に物件を持ちかけては出店を促した。
これ以上の借金・投資は、無理と判断した水玉はがんとして首を縦に振らなかったが、
印鑑を持ち出した青木は都内で手ごろな物件を契約してしまっていた。
水玉が気づいたときは手遅れの状況に陥っていた(がーん)
この水玉ストアー2号店が今後の彼ら魑魅魍魎が跋扈する場となるのである。
水玉邸乗っ取り作戦(1)へ続く
次回はいよいよ、主役の金借り屋銀次郎の登場です。
ご期待ください。

